【2017-2018投票結果発表】
ワースト発言は、4)山東発言「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」でした!
私たち「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」は、2017年に政治家が公的な場で発言したジェンダー差別的な発言を集め、もっともひどいと思われる発言に投票を呼びかけるオンライン・キャンペーンを行いました。2017年12月29日から2018年1月6日までの9日間、FBやTwitterなどSNSを通じて広く市民に呼びかけ、インターネット上に置いた投票フォームを用い、誰でも自由に投票できるようにしました。わずか9日間の短い期間でしたが、1457人(女性1015人、男性372人、その他・分からない59人、性自認無回答11名)の方々から投票をいただきました。FBやTwitterを通じてこの活動を広げていただいた方も多くおられ、深く感謝する次第です。
本キャンペーンは、ワースト発言を募る投票を通じて、政治にかかわる人たちのジェンダー差別発言に対して批判の声を挙げたい、そのような発言が繰り返される現状を変えたいと企画されました。日常や職場における性差別やジェンダーに基づく暴力がなかなか根絶されないのは、市民の代表者としてより良い社会を作るために努力するはずの政治家が、かえってジェンダー・ステレオタイプを強化したり、性差別的な発言を行ったりすることも一因であると考えられます。このキャンペーンを通じて、多くの市民が、公人の発言が社会に及ぼす大きな影響や責任を再認識し、政治家のジェンダー差別発言にNOと表明したことは、意義のあることだったと思います。
最も投票数が多かったのは4)山東発言「子供を4人以上・・・」で、605人がこの発言を最もひどいものとして選びました。この発言を選んだ人は、とりわけ女性に多く、女性投票者の45%を占めました。
2番目に得票が多いのは5)竹下発言「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」でした。578人が最も酷い発言として選びました。男性投票者の48.4%がこの発言を選んでいます。
ワースト1、2位間の差はそれほど大きくなく、第3位以降を大きく引き離しました。それだけ、この二つの発言のひどさが突出していたということを表しています(また、この2つの発言が、いずれも、直近のものであったということも、影響したかもしれません)。
また、投票結果には男女差も見られました。女性の45.1%が、山東発言をワーストとし、36.0%が竹下発言を選んだのに対し、男性では逆に、48.4%が竹下発言を選び、山東発言は32.5%でした。リプロダクティブ・ヘルス/ライツが焦点になるような発言に関しては、女性がより強く反応したといえます。また、3、4位については、女性が稲田発言(「私たち3人には共通点がある。みんな女性で、同世代。そして全員がグッドルッキング(美しい)!」)と二階発言(「自然の成り行きでいいんじゃないか」)でほぼ同率だったのに対し(ともに8.7%)、男性は、稲田発言をワーストに挙げた人の比率が12.1%であるのに対し、二階発言をワーストとしたのは、4.0%でした。女性の政治参画にかかわる発言に対しては、女性がより強く反応し、ルッキズム(外見至上主義)に対しては、男性がより強く反応しているようです。
性自認が「その他・わからない」と答えた方は、59人でしたが、竹下発言が47.5%と最も高く、次いで山東発言の35.6%でした。ワースト1、2位の分布は、男性の結果に似かよっていますが、稲田発言、二階発言の評価については、女性と似かよっているようにみえます。
セクシュアルマイノリティ当事者とアライ(当事者ではないがセクシュアルマイノリティを理解し支援している人)のグループと、そうではないグループとの間で、竹下発言をワーストに選んだ比率は、ほとんど変わりませんでした。このことは、投票してくださった方々の中で、当事者やアライであるか否かということにかかわらず、同性間のパートナーシップについて差別的に取り扱うことに対し、批判的な考えが広く分かちもたれていることを示しています。
他にも、問題のある公的発言はたくさんあって、報道されていないだけでしょう。つまり、今回の発言は氷山の一角です。そして、海外では、今まさにTime's Upの運動が起こっています。私たちも、「公人によるジェンダー差別発言は『もう終わらせる時期が来た』」という認識を広げていければと願っています。今回のキャンペーンがそのための一歩となれば幸いです。
問題のある発言が出てくる社会状況を変えたいという気持ちを示すために、たくさんの方が投票をしてくださいました。主催者として、心から感謝申し上げます。
[参考資料]
呼びかけ人(五十音順)
申琪榮(お茶の水女子大学教授)、千田有紀(武蔵大学教授)、西川有理子(パリテキャンペーン)、三浦まり(上智大学教授)、皆川満寿美(中央学院大学准教授)、村尾祐美子(東洋大学准教授)、山崎友記子(全国女性シェルターネット)、柚木康子(公人による性差別をなくす会)
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