2017-2018の記録

2018年1月9日 投票結果を公表しました。

 「ジェンダーに関して問題のある公的発言の2017年ワーストを選ぼう!」投票は、2018年1月6日夜23時59分に締め切りました。

 今回の投票を通じ、政治にかかわる人たちのジェンダー差別発言に対して批判の声を挙げたい、そのような発言が繰り返される現状を変えたいという気持ちを示してくださった皆さま全員に、心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました!

【1】この企画の目的

 2017年も繰り返された、ジェンダーに関して問題のある公的発言(注1)や、企業・自治体の広報。日本社会において、人権についての基本的な理解が共有されていないことに深く失望した人も多いのではないかと思います。特に、そうした発言が政治家によって行われていることは深刻な問題です。また、こうした現状が放置されていることは、ジェンダー平等実現のための日本の取組が他の先進諸国にくらべて非常に遅れていることと深く繋がっていると、私たちは考えます(例えば、世界経済フォーラムによる2017年のジェンダーギャップ指数ランキングでは144カ国中114位で、サミット構成国であるG7の中ではぶっちぎりの最下位(注2)です。G7の中で同性パートナーシップ制度がないのも日本だけです)。

 だからこそ、1年を振り返る年末年始のこの時期に、政治家の発言に絞って投票を募り、皆さんの思いを可視化したいと思います。2017年の現役政治家および元職による公的発言の中から、私たちは、ジェンダーに関わる見過ごせない問題発言を、「ジェンダー差別発言にNO」「著しいジェンダー格差の容認発言にNO」という基準で5つ選びました。この中から、みなさんの投票によりワースト発言を選ぶとともに、なぜこれらの発言がジェンダーにかかわる問題であるのかを、社会に向けて発信していきたいと思います。なお、いただいた情報は集計にのみ使用し、他の用途には決して使用しないことを、かたくお約束いたします。

 政治にかかわる人たちのジェンダー差別発言に対する批判や、そのような発言が繰り返される現状を変えたいという気持ちを示すためのこのアクションに、あなたもぜひご参加ください。

 

【2】ワースト発言候補とその理由

 私たちが選んだ今年のワースト発言候補と候補選出理由および関連する新聞報道へのリンクは下記の通りです。

 

1 「私たち3人には共通点がある。みんな女性で、同世代。そして全員がグッドルッキング(美しい)!」(稲田朋美衆議院議員)
解説:
 2017年6月3日のアジア安全保障会議における日本の防衛大臣としての演説のなかで、同じく壇上にいたオーストラリアおよびフランスの国防大臣(いずれも女性)に目をやっての発言。容姿を通じて女性を評価するというステレオタイプなジェンダー観を前提として、職務と無関係な容姿の優劣について公の場で言及した。
http://digital.asahi.com/articles/ASK655Q7DK65UHBI01X.html

 

2 「自然の成り行きでいいんじゃないか」(二階俊博衆議院議員)
解説:
 2017年10月11日の衆院選に関する報道各社インタビューにおいて、「自民党の女性候補者割合が7.5%にとどまる」との質問に対しての発言。女性議員が「自然に」増えにくい男性中心の政党文化や政治家の活動実態への問題意識を示すことなく、所属政党の衆議院議員候補における著しい男女格差の現状を容認した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22122840R11C17A0PP8000/

 

3 「その中で節を通した枝野は本物の男に見える」(石原慎太郎元国会議員・元東京都知事)
解説:
 10月16日の石原氏のTwitterアカウントにおける衆院選についての投稿。「人が節(筋)を通す/通さない」ということは本来性別とは無関係な事柄であるにもかかわらず、「節(筋)を通すことと男性性との間には関連がある」というステレオタイプなジェンダー観を前提として、他者を論評した。
http://digital.asahi.com/articles/ASKBK35L9KBKUTIL007.html

 

4 「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」(山東昭子参議院議員)
解説:
 2017年11月21日の自由民主党の党役員連絡会での発言。「子どもをたくさん生むこと」を「女性が国家に貢献する方法」とみなす、女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(注3)に反する価値観を、国家が持つべきであるという前提のもと、国による表彰を通じてそのような価値観を広めることを提案した。
http://digital.asahi.com/articles/ASKCP5RL8KCPUTFK017.html

 

5 「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(晩餐会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」 (竹下亘衆議院議員)
解説:
 2017年11月23日の自由民主党支部パーティーにおける講演で、異性間の事実婚カップルでは出席は認められたが宮内庁が悩んだと述べた後の発言。同性パートナー関係に対して、異性パートナー関係よりも劣った処遇をするべきとした。
http://digital.asahi.com/articles/ASKCR52GFKCRUTFK006.html

 

【3】結果の公表について

 皆さんの投票の結果は、2018年1月9日夜、FBページおよび本サイトで公表します。全体ワーストだけでなく、性別(性自認)ごとのワーストや、セクシュアルマイノリティ&アライの人々によるワーストも発表します。乞うご期待!

 

【脚注】

(注1)ここでいう「公的発言」とは、公職にある者または元公職者が、①それらの肩書のもと行った発言、②意見を公に表明するための方法を用いて行った発言、の少なくとも一方を満たすものを指します。
(注2)日本の114位に対し、フランス(11位)、ドイツ(12位)、イギリス(15位)、カナダ(16位)、アメリカ(49位)、イタリア(82位)。
(注3)「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の日本語訳は「性と生殖に関する健康と権利」。1994年のカイロ会議(国際人口・開発会議)において国際的承認を得た、女性の妊娠・出産に関する自己決定権についての考え方である。

 

 

公的発言におけるジェンダー差別を許さない会(NOASEPS; NO to all sexist public speeches

 

呼びかけ人(五十音順)
申琪榮(お茶の水女子大学准教授)、千田有紀(武蔵大学教授)、中野麻美(弁護士)、西川有理子(パリテキャンペーン)、三浦まり(上智大学教授)、皆川満寿美(真のポジティブアクション法の実現をめざすネットワーク)、村尾祐美子(東洋大学准教授)、柚木康子(公人による性差別をなくす会)